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室岩堂を一言で表すと「採石場」。洞穴内にある採石場だ。
採石場が洞穴にあるのは特に珍くない。
ただ、ここは地球の営みが分かり易い場所なのでロマンがある。
室岩洞について説明する。
地学がイヤな人が気絶しないよう、超かんたんザックリな説明をする。
1. むかしむかし、伊豆半島は太平洋沖の海中に沈んでいた(以後「古伊豆」と書く)。
2. その頃の海底火山の噴出物が古伊豆に堆積する。←重要
3. 古伊豆が乗ったプレートが少しずつ動き、とうとう本州と衝突した。
4. 行き場のなくなった古伊豆は、仕方なく上方に向かい、隆起した。
5. 海底の「古伊豆」は現在の「伊豆半島」に変身し、現在に至る。
室岩洞では海底火山の噴出物などが地層となって壁面で見ることができる。
また、ここで採石した石は海底火山の噴出物などであり、耐火性に優れ加工しやすさが特徴の「伊豆石」と名づけられた。
採石場は昭和の初めころまで稼働していた。今のようなオール電化?ではなく人力のため、いろいろと工夫された作業工程であったようだ。
洞窟探検気分で行くのでも良い、太古の海底の様子を見に行くのでも良い、人力作業の工夫を感心しに行くのでも良い。興味があれば立ち寄って損は無い。
平日に来訪したが誰も居なく快適だった。一人で洞窟探検している気分になれて楽しかったよ。
最後に一つだけ言いたい事がある。「洞穴だけに穴場だ」
(REPORTに続く)
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この採石場は江戸時代から昭和29年まで続いていた。展示されているのは、ここが廃止された昭和29年の様子。
案内板に「当時の様子を残したまま展示」と書いてある。
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洞窟内をウロウロしると、光が見えてきた。外に出られるのか。行ってみよう。
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とても低い。しゃがまないと頭をぶつける。
外に出た。洞窟の方を振り返る。
出口の上に、山型になった斜めの切り込みが見えるが、これは雨どい。
これだけでもポタポタが防げるのだ。
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多分、採石の跡だと思う。
ずいぶんと高さがあるが、よく切ったなぁ。
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先ほどの出口から続く道は、海へと繋がっている。
この道には重要な役割がある。
開けた場所に出た。ここが終点。
切り取った石はここに集められ、海へ滑り落とす。
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当時はこの周辺にまともな道路が存在しなかったので、伊豆石の運搬方法は海上輸送に頼るしかなかったようだ。
この広場から下の船着き場まで石を滑りおろす。
重い石を移動させる動力は重力。極めて合理的なのだ。
ここから滑り落とした?斜面はゴツゴツしているので自由落下ではなさそうだ。
きっと石に縄を縛り付けて、そーっと降ろしたのだろう、と想像して勝手に満足する。
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(おしまい)