浄土平は秘境である。相当ひねくれた人でない限り異論は無いと思う。
ここのように広大な面積に渡る荒涼とした景観は、国内でも数えるほどしかない。
その全部に行ったわけではないが、車で到達でき、駐車場があり、自由に歩き回れるという条件を当てはめれば、さらに数は少なくなる。
そんな貴重な存在の浄土平。正確に言えば浄土平はこの地域の一部にある湿原のことであり、この秘境一帯を示す地名ではない。
浄土平駐車場から15分で登れる「吾妻小富士」は浄土平ではないが、その遠征先を他人に伝える際には「浄土平に行く」となる。
地方から浦安に引っ越す際、「上京する」と表現するようなものか。いや、違うな。
浄土平には駐車場がある。駐車場から見える景色だけでも十分見応えがある。
そこにはビジターセンターがあり、天文台があり、夜間でも使用できるトイレがある。11月から4月までは冬季閉鎖となるが、その他の時期であれば深夜早朝問わず来訪できる。
今回は登山のためここで車中泊をさせて頂いた。僻地にある駐車場にもかかわらず、夜間でも入場車が現れる。広大な駐車場の奥のほうでは、天体観測の方たちが静かに楽しい時間を過ごしているようだ。
それぞれが大人のわきまえを心得ており、騒いでいる連中は皆無。そのため快適な夜を過ごせた。静かで荘厳な地では、このような大人だけが集まって欲しい。
翌朝、登山のついでにガスとハゲ山の浄土平をウロウロしてみた。
(REPORTに続く)
中央に建つのは浄土平ビジターセンタとその駐車場。
登山、トレッキング、天体観測などのベースキャンプに適した場所だ。
昨晩はここで車中泊をさせて頂いた。ありがとうございます。
早朝の浄土平駐車場(の横から)。
たとえ駐車場でも、ここから見える景色は格別だ。
早朝にも関わらず、駐車場には結構な台数の車が駐車している。
トイレに近い場所だから、この辺りで車中泊をする人が多いのだろう。
ちなみにこの画像に見えているのは、広大な駐車場のほんの一部に過ぎない。
俺はもっと奥の誰もいない場所で、快適な夜を過ごした。
満天の星空の下、トイレまで少々歩くのも楽しいものだよ。
この駐車場から一番お手軽に登れる山は「吾妻小富士」だ。
山頂の淵まで15分あれば登れる。浄土平が一望できるだろう。
ちなみにお手軽とはサンダルで登るってことではないよ。山は危ないからね。
運動靴とカッパとチョコと水があれば平気さ。手ぶらサンダルはダメよ。
駐車場敷地内にある浄土平天文台。
この地の荘厳な景色は、地上から宇宙までひと続きなのだ。
奥の駐車場は登山口になっている。
ここからの景色は、火山性ガスの噴出口が間近に見られる。
どうだい、モクモクだろ。
遠くに奇妙な色をした山(の一部)が見える。これはなんだ?
なぜここだけ白いのか分からない。
ちょっと近づいてみるか。
磐梯吾妻スカイラインを北上し、出来れば車を横付けしてみる。
常識が邪魔をして路上駐車ができなかった。非常識な人が羨ましい。
地質学の知識は皆無なので、見たところで何も分からない。
でも、これでいいんだよ。
異景の地に白い山があった。これだけで十分楽しめるのさ。
(おしまい)