このダムはアートの世界に包まれていて、それぞれが見事な様相を呈している。
白を基調とした大きなアート作品は、市街の公園にあれば人の目を引くはずだ。
ダム本体でさえアートの一部となっているほど徹底している。野暮ったい形状のベンチなど無い。素晴らしい。
しかし立地環境を鑑みると、その感想は別のものになる。
南相木ダムは山奥にある。犬の散歩のおじさんや大量の観光客などが来る場所では無い。
狭い山道をひたすら走り、現地に到着すればスズメ蜂と熊に注意を払い、天候が悪くなれば災害の危険が身近にあり、一番近い村まで12kmある山奥なのだ。
そんな中で突然現れる、無機質な白いアートの世界。違和感がハンパ無い。
特にダム堤下の「ウズマク広場」。
誰もいない山奥の「抽象的すぎる無機質の広場」は"不思議の国"の世界観になっている。
"不気味の"ではなく、"不思議の"だ。
繰り返す。不気味ではない。不気味ではない。
(REPORTに続く)
南相木ダムの堤下にある「ウズマク広場」に向かう。
堤下だがダム上部からは歩いて行けない。車で移動だ。
目的地近くのトンネル。
目つきの悪いハチが待ち受ける。
トンネルを抜けると目的地に到着だ。
16時30分。誰もいない。
そもそも南相木ダムにさえ誰もいなかった。
ウズマク広場の公式説明文。
俺はもう少し読解力を身につける必要があるようだ。
頭痛がしてきた。
先ほどまで滞在していた、南相木ダム上部からの画像。
ウズマク広場はこのように見える。
これが人里離れた山奥にある。
さあ、ウズマク広場を見てみよう。
この広場はシンプルな構成。ここから見える景観がこの広場の全て。
アートとは関係ないが、この岩の断面が気になった。
中央左にある岩の空間がどうなっているのか気になって仕方なかった。
アートに目を向けよう。
奥のロックフィルダムに向かって進む。
美しいロックフィル。この裏にある大量の水を堰き止めている。
中央の渦巻きに向かう。
パワースポットのような佇まい。
渦巻きの上に登った。特に何も起こらない。当たり前だ。
山奥で人の気配が皆無。そこにある無機質な白いアート群。
本当に不気味な空間だ。間違えた。不思議な空間だ。
熊とスズメ蜂を警戒しながら次のアトラクションへ。
こちらの渦巻きは水路になっているようだ。
凍っている。
踏むと割れた。そして靴に冷たい水が染み込む。
不思議な空間だ。
そして一番気になっていた謎の建築物へ行く。
「熊出没注意」と貼ってある。この中に熊が出没するのか。
気を付けよう。
圧迫感のある階段を登る。一体この先に何があるのか。
椅子が1つ。
座ると壁しか見えない空間。
何の意図があって椅子を1つだけ造ったのか。
不思議だが、それでいい。ここは不気味の国のウズマク広場だ。
(おしまい)