野付半島は全長26kmの「砂嘴」で構成されている。「さし」と読む。
聞き慣れない砂嘴だが、海から砂が漂着し、堆積して形成された地形のことだ。
そのためカクカクしておらず、躍動感のある地形になっている。
是非地図で確認してみて欲しい。
地球の営みを見ているようで楽しいよ。
独特な地形の野付半島は、その環境も特徴的だ。
一般的に半島とは海に突き出たズングリした土地を指すが、ここはとにかく細い。半島の奥に進む道が一本だけあり、その左右は海になっている。
道路と海との間には湿原・干潟・草原・原生林などがあり、この細長い半島には多様な環境が共立している。
さらに野鳥の宝庫でもあり、日本で確認できる種の40%が飛来する。
そんなことを頭に入れて、一本道を奥へ進む。
野付半島の奥に「トドワラ」がある。野付半島の代名詞にもなっている風景(現象)だ。
トドマツが生えていた場所に海の浸食が起こり、立ち枯れとなってトドワラとなる。
その様は、殺伐と荒涼が混在したこの世の果てのように見える。
雰囲気を盛り上げるためにもう一つ付け加えると、稀にシャチが泳いでいるらしい。
陸があの光景で海にシャチかい。
この世の果てじゃなくて、あの世だよ。
(REPORTに続く)
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野付半島の説明は、俺の文章よりもこの画像のほうが分かり易い。
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野付半島を通る唯一の道。細長い半島のため左右は海だ。
8時30分、野付半島ネイチャーセンターに到着。
トドワラ探検のベース基地。
トドワラの説明は、俺の文章よりもこの画像のほうが分かり易い。
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このルートを歩く。
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雨は止んだ。さあ出発だ。
誰もいない貸切状態の「この世の果て」。
楽しくも単調な一本道を1km進むと、ちょっとした広場が現れる。
ここからがトドワラのメインステージとなる。
ここに来るのは3回目だが、なぜか違和感を感じ始める。
違和感の理由がすぐにわかった。
トドワラが見えない。
ここでも多少の立ち枯れが見えたはずだが、何もない。
とにかく奥に進もう。まずはT字路を左に行く。
左は海の上を歩く歩道だ。
海上を歩く。良い道だ。
快適な海上の木道が終わり、整備された地面の上を歩く。
左前方に終点の桟橋が見える。快適な探検だ。
それにしても、前回来た時とは少々違うな。新しく造ったのか。
横に見えるは「得体のしれない物体」。
絶対に落ちたくない。
ん? ここで地面が終わっているな。
今から ここを歩くことになった。
こことは「得体の知れない物体」の上のことだ。
ほにょおおおおおおおお
あひぃいいいいいいいい
あー ズブズブ埋まるよ。
あー 変な汁が靴に入ってくるよ。
うへへへ。いひひひ。
やっと桟橋の端に到着した。
靴と靴下は悲惨な状態になっている。
ここで桟橋コースはゴールだが、一つだけ問題がある。
帰りにもう一度ズブズブを歩かなきゃならん。
おりねぇよ
少し戻り、先ほどのT字路の右コースを進む。
こちらは「トドワラ」が観賞できるコースだ。
要はこの地のメインコンテンツ。
快適な木道を歩き、ゴールまで来た。
やはりトドワラが数本しか無い。
近年発生した爆弾低気圧が、トドワラを海に流してまった。残念だ。
しかし、トドワラが無くても野付半島は平常運転。
「この世の果て感」は少々薄まってしまったが、魅力的な場所に変わりはない。
どうだい、素敵だろ?
これは10年前の2009年に訪れた時の写真。まだトドワラが残っている。
長い年月をかけ徐々に形成されていったトドワラは、急激に減少した。
やはり地球の環境に異変があるのだろう。
そんなことより靴が気持ち悪りい。
ネイチャーセンターに戻り、帰路につく。
野付半島の中ほどで、国後島が目の前に見える。
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同じく野付半島の中ほど。海上を鹿の軍団が歩く。
彼らは野付半島の海上は歩けることを知っているんだ。妙に感心してしまった。
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グチャグチャの靴と靴下は、とりあえず道路の水たまりで洗った。
本来であれば洗剤が必要だが、旅の途中では満足に洗える場所が無い。
あれこれ考え、結局洗車場で洗うことにした。
高圧洗浄機は洗剤が出るしね。
(おしまい)